審査請求とは
審査請求は、国や地方自治体などの行政庁による違法・不当な処分(行政処分や不作為)に不服がある場合に、その見直しを求めて行う「不服申立て」制度です。行政不服審査法に基づき、裁判よりも簡易・迅速かつ無料で、権利救済と行政の適正化を図る手続きをいいます。
審査請求の特徴
審査請求は、簡易迅速な救済を目的とし、また手続きに一切印紙代等が不要という点で優れた制度です。
また審査請求の特徴はその審査対象にも表れます。行政訴訟と異なり行政処分の「違法」だけではなく「不当」も審査の対象とします。
つまり行政処分そのものに「違法」はないが「不当(例えば事例に対して処分が重すぎる等)」という事件も救済することができます。
これは行政処分を同じく行政機関が審査することによる自己統制の側面があります。
ただ行政機関が行政機関を審査するため一度出された処分を覆すことはよほどのことがない限り難しいという側面もあります。
審査請求の対象
行政不服審査法第7条及び他の法令等に定めるもの以外は、すべて行政不服審査法に基づき審査請求をすることができます。
なお審査請求をするには、「行政処分」であることが必要で、一定の場合を除きいわゆる「行政指導」は対象となりません。
審査請求することができない処分の種類
行政不服審査法及び他の法令等に定める一定の処分は審査請求をすることができません。
(行政不服審査法第7条:審査請求ができない場合)
第七条 次に掲げる処分及びその不作為については、第二条及び第三条の規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分
五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)
2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。
行政書士が代理できる審査請求の範囲
行政書士は行政書士法に基づき次に掲げるものに関して審査請求手続きを代理することができます。
なお行政書士が関与できない審査請求についてはお近くの「弁護士」へご相談ください。
第一条の四 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 (略)
二 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
※「前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類」というのは、行政書士だけが、他人の依頼を受け、報酬を得て、反復継続して作成しうる書類のことをいいます。
なお審査請求の代理人となりうるかについては「当該許認可等に関する書類を行政書士が作成していたかどうか」は法律の要件ではなく、あくまでも「当該許認可等にかかる書類を行政書士が作成することができるかどうか」によります。
審査請求の区分
審査請求は主に「処分に対する審査請求」「不作為に対する審査請求」に二分できます。
それぞれの違いは「処分があったかどうか」で簡単に理解していただくとよいです。
「処分に対する審査請求」は、行政処分が前提として存在しており、既に審査請求をする側に不利益が生じている状態です。
「不作為に対する審査請求」は、行政に何らかの申請等をしたにもかかわらず、何もしてもらえないときに審査請求をするものです。
審査請求の期間制限
審査請求は次に掲げる期限を過ぎると、正当な理由がある場合を除き、することができません。
【処分に対する審査請求:行政不服審査法第18条】
・処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(主観的期間)
※当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1か月
・処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して1年以内(客観的期間)
【不作為に対する審査請求:行政不服審査法第18条において言及されていない】
不作為(何もしてくれない状態)が継続する限り、審査請求をすることができます。
なぜ専門的な実務家の関与が必要か
審査請求が認められる件数が少ないのは、前述のとおり行政機関が行政機関を審査するという側面もありますが、高度な専門性を有するにもかかわらず専門的な実務家の積極的な関与が少ないことも要因であると考えられます。
そして個人でやる場合「どのようにして資料等を用意したらいいかわからない」「何をどうしたらいいかわからない」という困難に直面し、結果として機会を逃しているということも多いように感じます。
専門家の中には認容率(認められる可能性)の低さを知っているため積極的に活用を進めない方もいるようですが、当事務所はせっかく「制度があるのだからダメもとでやってみたい」という方にとことんお付き合いをしています。
審査請求は前例がほとんど通用しない多様性あふれる領域です。
我々は「専門家」を自称しませんが代わりに「実務家」を自称しています。持てる実務経験(法令知識や教科書では学べない実務の生きた経験等)をもってあなたをスケダチします。
よくあるご質問
Q1.過失があっても審査請求ができますか?

行政処分をされたことについて、処分の名宛人(処分を受けた人のことをいいます。)に過失があるかどうかによって審査請求は制限を受けません。
例えば、交通事故を自分の過失で起こしたとしても、それに伴う行政処分に不服があるのであれば審査請求をすることができます。
Q2.勝ち目がないと聞くんですが?

審査請求の認容率(審査請求の内容が認められる確率で「勝訴」等に近いイメージです。)はご質問のとおりかなり低いです。処分庁(処分をした行政機関)の上級機関やその処分庁自身が審査庁(審査請求を審理する行政機関)になる制度の構造上致し方ない部分もありますが、やはりまだまだ専門家の関与が少なく、主体として法律の知識に乏しい名宛人本人が審査請求を行うケースもあり、主張すべき事実の主張や自己に有利な証拠資料等の準備・提出ができていないことなども要因にあると考えています。
勝ち目がないからやらないのではなく、せっかくの救済制度を利用して、処分庁がどのような事実を認定し、判断の材料とし、最終的に行政処分に踏み切ったのかを知れるのとそうでないのでは、気持ちの持ちようが違うはずです。
せっかくの公的な支援制度です。活用を検討してみませんか?
Q3.費用が心配です。

まず審査請求そのものについては、費用が一切かかりませんのでご安心ください。
行政書士の報酬については、認容率の低さも踏まえてそこまで高額にはならないが国家資格者が拘束される以上、ある程度の部分はいただくようにしています。
目的が「処分の取り消し等」であればおそらくそのニーズを満足させることは難しく、行政書士がいただく報酬も割高に感じると思います。
ただご自身の中で「無理筋なのはわかってるけど、行政側がなぜ処分をしてきたのかの真相を知りたい。そのために国家資格者の力を借りたい。」と思われている方であれば、ある程度ご納得いただける金額に収束すると考えています。
大変申し訳ないのですが、事案によって審査請求の戦い方がことなるため、一律の料金表示というのが難しいです。できるだけ事案ごとに明確に料金提示していきますのでご理解いただけますと幸いです。
審査請求に関する投稿一覧
【審査請求】
- 生活保護の停止処分に対する審査請求手続き代行|行政書士乗越士所
- 障害福祉サービスの支給量削減に不服がある方へ|行政書士乗越士所
- 免許取消から審査請求まで|行政書士乗越士所
- 弁明書はどう書けばよいか|行政書士乗越士所
- 免許取消処分の通知が突然来た方へ|行政書士乗越士所
- 仕事で車を使う方の免許停止・取消|行政書士乗越士所
- 弁明の機会の付与とは|行政書士乗越士所
- 免許取消処分の審査請求期限は3か月|行政書士乗越士所
- ひき逃げで免許取消になった方へ|行政書士乗越士所
- 生活保護の申請を拒否されたケースの審査請求|行政書士乗越士所
【処分に対する審査請求】
【不作為に対する審査請求】